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今年のイグ・ノーベル賞
「笑えるとしか言いようがなく、しかも記憶に残り、人々を考えさせる業績」に贈られる、毎年恒例となったイグ・ノーベル賞の第18回授賞式が 2日夜、米ハーバード大学のサンダース・シアターで催され、「コカ・コーラの避妊効果」について研究し、真反対の結果を導き出した2つの研究グループに、 化学賞が贈られた。片方は「避妊効果がある」との結論で、もう片方は「効果がない」としている。
「コカ・コーラに避妊効果がある」との研究は、米ボストン大学医学部のデボラ・アンダーソン教授が1985年に、米医学誌の権威ニューイングラン ド・ジャーナル・オブ・メディシンに発表したもの。コカ・コーラの中でも、特にダイエット・コークの避妊効果が最も高かったという。
同様の研究は台湾の研究グループも行っており、同時受賞となった。しかし、台湾のグループは、コカ・コーラならびに他のソフトドリンクには「避妊効果がない」ことを確認している。
一方、清涼飲料水大手コカ・コーラは、イグ・ノーベル化学賞についての問い合わせに、回答を拒否している。
また、高価な偽薬(プラセボ)ほど、安い偽薬よりも効果が高いことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授が、医学賞を受賞した。
同教授は体の70%以上をやけどして入院した3年間に、病院内の患者の行動を観察。やけどの痛みで夜に飛び起きる患者が、看護師から鎮痛剤を受けてすぐ眠る様子を何度となく見かけたが、看護師から注射は単なる生理食塩水だと聞かされ、偽薬とその効果に注目。
「何かを期待すれば、人間の脳はそれを実現させるよう働く」と述べ、価格が安い後発医薬品「ジェネリック医薬品」も、名前と値段を変えれば高い効果が上がると主張している。
このほか、脳を持たない真正粘菌が迷路の最短経路を見つけることを発見した、中垣俊之・北海道大准教授ら6人の研究が、認知科学賞を受賞。日本人の受賞は、昨年「牛糞からバニラ香料成分の抽出」研究で受賞した山本麻由さんに続き、2年連続となった。
今年の受賞一覧は以下の通り。
○栄養学賞:「同じ食べ物でも、名前の聞こえが良い方がおいしく感じる」ことを示したイタリア・トレント大学のマッシミリアーノ・ザンピーニ氏と英オックスフォード大学のチャールズ・スペンス氏に授与。
○平和賞:「植物にも人間と同様に尊厳がある」ことを法的に定めた、スイスの人間以外の生物工学に関する連邦倫理委員会とスイス国民に授与。
○考古学賞:考古学の発掘現場付近に生息するアルマジロが、発掘品をより深く埋めたり持ち去ったりすることで、発掘現場がメチャクチャになるだけで はなく、歴史が変わってしまう可能性があることを示した、ブラジル・サンパウロ大学のアストルフォ・ゴメス・デ・メロ・アラウージョ氏とジョゼ・カルロ ス・マルセリーノ氏に授与。
○生物学賞:「イヌに寄生するノミは、ネコに寄生する個体よりも、より高く飛ぶことができる」ことを発見した、フランス国立トゥールーズ獣医大学のマリークリスティーヌ・カディエルジュ、クリステル・ジョベール、ミシェル・フランの3氏に授与。
○医学賞:「高価な偽薬(プラセボ)は安価な偽薬よりも効果が高い」ことを確認した米デューク大学のダン・アリエリー行動経済学教授に授与。
○認知科学賞:脳を持たない単細胞生物の真正粘菌が、迷路の最短経路を見つけることを発見した、中垣俊之・北海道大准教授、小林亮・広島大教授、石黒章夫・東北大教授、ハンガリー・セゲド大学のアゴタ・トス氏ら6人に授与。
○経済学賞:プロのストリッパーの排卵周期が、チップ収入に影響を与えることを発見した米ニューメキシコ大学のジェフリー・ミラー、ジョシュア・タ イバー、ブレント・ジョーダンの3氏に授与。3氏らによると、ストリッパーが最も稼ぐのは、生殖能力が最も高い時期であるという。
○物理学賞:大量の糸や髪の毛は、外部要因がなくとも必ず絡まることを数学的に証明した、スクリップス海洋研究所のドリアン・ライマー氏と、米カリフォルニア大学サンディエゴ校のダグラス・スミス氏に授与。
○化学賞:「コカ・コーラの避妊効果」についての研究で、ボストン大学医学部のデボラ・アンダーソン教授、ならびに台湾の台北医科大学の研究グルー プに授与。アンダーソン教授らの研究は「避妊効果がある」で、台北医科大学の研究は「効果がない」と、全く正反対の結果となっている。
○文学賞:「バカ野郎:物語的手法を用いた、組織内で経験した憤慨についての分析」研究で、英カス・ビジネス・スクールのデイビッド・シムズ氏に授与。
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